2020年もあと1日。というわけで、今年の歌声合成ソフト界隈であったニュースをまとめてみます。今年もいろいろあったんですよ。「大賞」とかタイトルつけてますが、どれが1番とかは特にありません(ここまで去年の記事からコピペ)。
2020年に起きたこと
このブログは基本、技術寄りのコンシューマー向けなので、文化・学術系の話題は拾ってません。話声合成ネタもあんまり拾ってない。
ここで書いたこと、ほぼ全部記事化しているので検索してください。
VOCALOID
2006年以降、VOCALOID音源は毎年出ていたんですが、2020年にしてとうとう新規音源のリリースが途切れました。こっそり出てるとかある? 少なくとも新規VOCALOID音源としてパッケージソフトが出たものはない。
※これはキャラ数のグラフ
V4発売直後の15年に最多をマークして以降、18年のV5発売からはほとんど新規音源が出ず、20年はゼロになった。21年以降音源は出るのか、そもそもV6出るかどうかすらもうわからない。

SynthV
2020年はSynthVがかなり派手に活動した年になりました。AHSさんから発売され、音源バンバン出している。
Web版SynthV公開
2020年最初のニュースだった。Webブラウザで動くSynthVが公開された。今ではAHSさんのSynthV販売ページにデモとして設置されているのもWeb版SynthV。伏線だったか。

Synthesizer V Pro発売
SynthVの第2世代。GUIがかなり多機能化して、自動調声機能が付いたりしながら進化。6月にはAHSさんが取り扱いを発表した。第1世代は普通にシェアウェアだったのが、今ではヨドバシやビッグカメラにパケが置いてあったりしてすごく出世したなという感じ。

SynthV琴葉姉妹、Saki、ゲンブ発売
SynthV Pro用音源として、琴葉姉妹、Saki、ゲンブがリリースされた。中国語音源はもっといろいろリリースされてる。琴葉姉妹は音源が1個になっちゃったけど、ユーザーサイドで演出し分ける方法が考えられたりしましたね。ゲンブは第1世代からのアプデですね。AHSでの取り扱いはちょっと後ろにずれたけども。
SynthV AI、Saki AIリリース
Pro発売から半年しないうちにSynthV AIが登場。AIが歌声を合成する。ピッチを自動で書いたりもする。同時に既存ユーザーへのアプデとしてSaki AIもリリース。人間っぽいのもそうだけど、萌え系の声じゃないのがポイントの一つかな。
KotonoLabel
ボイロの喋りをSynthVに転写するソフト。9月に開催されたSynthVテックで、スズモフさんが発表した。SynthVトークをするときには、ベースをKotonoLabelで作って、そこからパラメーターいじりながら演出をくわえていくのがいいと思います。

小春六花、ついなちゃん、マキ発売決定
SynthV音源として、小春六花、ついなちゃん、弦巻マキが発表されました。

小春六花はボイスロイド化を目指すクラウドファンディングの追加ゴールとして登場。普通に余裕で目標金額を達成し制作決定となった。
ついなちゃんもSynthV化を目指すクラウドファンディングが成功し、音源制作が決まりました。

弦巻マキは、AHSさんが普通に作る。日本語版と英語版のどっちも作る。声優交代で、きんモザカバーができちゃう感じになった。
京町セイカSynthV化CF
京町セイカさんがSynthV音源になるべくクラウドファンディングを始めました。寄付は故郷納税扱いにできるらしいぞ。31日の時点では156万(39%)が集まっている。

NEUTRINO
NEUTRINOリリース
今年一番のニュースはやっぱりこれですかね。異論は認めん。AIが勝手に歌唱表現を適用して歌う歌声合成ソフト。NEUTRINO動画は2020年だけで5500本。りんごろうとは関係ないはずだよ?

当初はCUIしかなくて難易度高めな感じで、無声化しちゃうエラーがあったりしてましたが、どんどん進化していきました。
きりたん、謡子リリース
NEUTRINO本体と一緒に、きりたんと謡子もリリースされました。きりたん、盛大に流行ったな~~。きりたん動画は2020年だけで4500本。再生数1位はりんごろうカノン。2位は私。負けた。
JSUTリリース
主にきりたん動画とかのハモリとかコーラスに使われている。
イタコ
クラウドファンディングで歌唱DBを作ることになった。歌唱DBができる前にNEUTRINO音源ができた。9月のリリースから約3カ月でニコ動に上がった動画は343本になった。
めろう
NEUTRINO初のオリジナル音源。「そこらへんにいそう」な声がコンセプト。息っぽい声もできるよっていう話でもある。
ずん子はCFするよ
まだ詳細は明かされてないですが、ずん子もNEUTRINO化を目指して2021年にクラウドファンディングするらしい。きりたんもイタコもいてずん子だけなかったらネタにしかならないし、多分一瞬で達成するでしょう。
ファンボックスあるよ
NEUTRINOのナカノヒトを支援するファンボックスができました。NEUTRINOの開発費とかになるらしい。
CeVIO AI
CeVIO AI発表
CeVIOが大型アップデートするという発表。2020年内の発売を目指していたが、21年にずれ込んだ。AIでパワーアップ。実はまだ発売日を発表してない気がする。結月ゆかり麗が出る1月29日以前になるはず。CeVIO AIが発表されてからいろんなところで不穏な空気が漂っていて、CeVIO民的には気が気じゃねぇですね。
結月ゆかり麗発表
結月ゆかりのCeVO AI版「結月ゆかり 麗」が発表されました。発売は1月29日。価格はエディタ込みで1万8800円(税別)。かなりVOCALOID結月ゆかりに近い声に仕上げてきた感じで、衣装デザインも麗しい。発表されたときはちょっと「鞍替えか?」って荒れたけど、もの自体は既存ユーザーでも満足いく出来になっているような印象。

IA、ONEのトーク発表
IAとONEもAI版に対応するらしい。ソング音源は今のところ出るという情報はない。
CeVIO AI v flower発表
v flowerもCeVIO AIソングに対応するとのこと。発表当時は「CeVIOでflowerの声出る?」と思ったが、ゆかりの出来を見る限りではそこそこいけそうなのかなっていう印象。
なぜかCeVIO AIきりたんソングも出る
NEUTRINOとしてすでにリリースされているきりたんですが、CeVIO AI版も冬には出ると発表されました。多分、NEUTRINOと比べると普通にGUIが整っているはずなので、NEUTRINOきりたんに断念したけど使いたい人にはお勧めできるものになるのかなと思います。

CeVIO AI可不が発表
CeVIO AIオリジナル音源として、VTuber「花譜」をモデルにした「可不」がソング音源になると発表された。

3種の音源を聴き比べてどれがいいか聞くアンケートを公式がやったんですけど、これがまぁーーーー賛否両論引き起こしましたね。

CeVIO AI小春六花が発表
VOICEROID音源化を目指してクラウドファンディングをしていた小春六花ですが、紆余曲折あってCeVIO AI用のトーク音源になることが発表されました。燃えた。

でも、出来上がった音源はどれもちゃんと魅力的に仕上がっていたのでセーフ。
まずは小春六花ちゃんの発売日がついに決定!すでにデモ動画もアップされておりまして、CeVIOもSynthesizer Vも声をお聞き頂けるようになっております!まずはこちら『CeVIO AI 小春六花 トークボイス』の音声です! https://t.co/6PXps5HuHU #小春六花 #SynthV #CeVIO pic.twitter.com/D41rM8pa6G
— AHS公式 (@ahsoft) December 25, 2020
CeVIO AI弦巻マキ
弦巻マキがCeVIO AIトーク音源になると発表されました。日本語も英語も対応。CeVIOとして英語トーク音源が出るのは初になるはず。そういう意味では結構期待したい。

声優交代でちょっと荒れたけど、VOICEROIDではなく生声のマキさんと比べると、実はそんなに離れてないかなという感じなので、うまくいけばそんなに変わらない声になるんじゃないかなと思います。そんなことないだろうけど。
Piapro Studio NT
AI歌声合成ソフトたちに押されてちょっと影が薄くなっちゃってるけど、初音ミク NTがリリースされました。コロナやなんやの影響で3カ月遅れたけど出ました。機能としては、パワー系のパラメーターがついてたり、波形表示機能があったりで今風のソフト感がしっかりある。

結局、正式リリースでも表情音源は間に合わず、後日アップデートで追加ということになった。
UTAU
新公式エンジン「Doppeltler」リリース
UTAU本家から新エンジン「Doppeltler」がリリースされました。64bitに対応して高速化している。

doppeltlerで音の輪郭がぼやけるとかそういうのに一つだけ心当たりがあるので修正してみた。https://t.co/aeCenfZwrr#doppeltler ver009
・フォルマント特性を取得するための平滑関数を変更。
数字上再現性は良くなってるはず。でも聴感は相性や音の好みの問題になるので何ともいえない— 飴屋P (@ameyaP_) February 28, 2020
新公式エンジン「f2resamp」リリース
fresampも進化して高速化しました。出音は軽くなっているため、そこまでfresampfresampしいかんじではない。

https://t.co/ycegdpS0y1#f2resamp ver005#doppeltler と同じ変更です。フィルター処理は共通なので。
— 飴屋P (@ameyaP_) February 28, 2020
新公式エンジン「phaavoco」リリース
phavocoも更新されました。こちらも高速化。

Phase-Vocoderの改良版アルゴリズムが何となくわかったのでUTAUエンジンにして放流してみる。https://t.co/ZybvE9A81w#phaavoco『ふぁぁぼこ』Ver001 test
名前にphävocoとかphaävocoとか考えたんだけどファイル名にäはヤバいのでやめました。— 飴屋P (@ameyaP_) March 5, 2020
VOICEROID
低音男声「伊織弓鶴」発売
これまで難しいとされていた低音男声音源が「伊織弓鶴」として登場しました。低音男声にしては顔がやたらかわいい。スタイルは通常+怒り/悲しみ/喜び。

VOICEROID2 音街ウナ発売
どういう経営判断なのかわからないですが、すでにトークソフトが出ている音街ウナがVOICEROID2にも対応しました。合成エンジンも中の人も変わらないので、出力音声もそこまでは変わらんのですが、同じGUIでウナときりたんをしゃべらせられるようになったので一部のファンからは好評な様子。
AIシンガー
X Studio(StudioVoICE)登場
中国マイクロソフトがAI歌声合成ソフト「X Studio」をリリースしました。結構重いがクオリティは爆高い。タイミングとピッチがいじれるので、CeVIOほどではないが普通にいじれる。なお、音程は(音源によるが)四半音くらい高い。

クラウド型AI歌声合成「AISingers」登場
中国からWebブラウザで動くAI歌声合成ソフトAISingersが登場しました。NIAONIAO(歌声合成ソフト)で作った楽譜をアップロードして歌わせる。Sinsyみたいなもの。
NNSVS登場
AI歌声合成ソフトを作るプログラム「NNSVS」が登場しました。AI向けの歌唱DBを作って、学習させて、モデルを作って、歌声合成を体験できる。
NNSVSベースの歌声合成ソフトはいくつか出ている。音源も御丹宮くるみや夏目悠李をはじめ5人くらいいる。
Sinsyが2年ぶりの更新
Sinsyが2年ちょいぶりに更新しました。DNN謡子さんの新バージョンと、DNN香鈴が追加された。音質がSinsyっぽさからちょっと脱却して息成分の表現がうまくなった印象。
その他
ガイノイドTALK flower発売
ガイノイドさんのオリジナルトークソフトとしてガイノイドTALK flowerが発売されました。VOCALOIDと声質の差もあんまりないし、一緒に使うのも別で使うのもやりやすそう。
A.I.VOICEと音源「琴葉」「伊織」発表
VOICEROIDとかの音声合成エンジンを作っているエーアイさんが、オリジナルの音声合成ソフト「A.I.VOICE」を発売すると発表しました。21年2月には話声合成ソフト、12月には歌声合成ソフトをリリースする予定とのこと。

機能としては、キャラクターの声質としゃべり方を交換する「ボイスフュージョン」なんかを搭載する。
音源は今のところ、琴葉姉妹と伊織弓鶴だけ発表されているが、今後も増やしていく予定だそうな。
コエステ社が、話声合成ソフトになれるサービスを開始
コエステーションを作っていた部署が独立してできたコエステ社が、自分の話声合成ソフトを作ってくれるサービスを始めました。50万円払って収録してもらえば、CeVIOっぽいソフトにしてくれる。

PaintVoice、UTAU音源読み込みに対応
Android向け歌声合成アプリ「PaintVoice」がUTAU音源の読み込みに対応しました。UTAU音源がAndroidスマホ上でも歌わせられるわけですね。読み込めるのは単独音音源のみ。多音階OK。

VocalShifterが3年ぶりに更新
VocalShifterが3年ぶりに更新されました。バグフィックスはもちろん、エンジンやGUIの改善などを行っている。中でも大きいのはモーフィング機能の追加。2つの歌声を徐々に混ぜ合わせることができる。

ニコ動にアナリティクス機能
ニコ動に、動画のアクセス状況を分析できる「アナリティクス」機能が追加されました。これのおかげで、だれがどこから動画を見に来てくれているのかわかるので、再生数を伸ばしたいときにどういうルートでプロモーションしていけばいいのかが分かるようになったし、そういう手を打った時の項かも見えるようになった。ありがたい。

UTALOADER登場
カバー曲や歌ってみたの音声をアップできるサイト「UTALOADER」をデルタさんが作ってくれました。権利関係の処理を結構細かく作りこんでいる。

CeVIOTalkSync公開
CeVIOトークを歌わせるツール「CeVIOTalkSync」が正式に公開されました。踏むべき手順は多いが、自動化できるかできないかでは雲泥の差があるぞ!

SeirenVoice公開
ドワンゴが公開したボイスチェンジャー「SeirenVoice」が流行りました。入力した音声を分析して文字起こし。それをタイミングやピッチをある程度合わせたうえで話声合成するという、ちょっと回り道なボイスチェンジャー。回り道したおかげで、ボイチェン適正がない人でもきれいに変換できるし、女声→男声もその逆もほぼ劣化なくできるのが強い。

Voidolに、ゆかり/あかり/GUMI登場
ボイスチェンジャー「Voidol」用音源として結月ゆかり、紲星あかり、GUMIが登場しました。ゆかりあかりが活発なのはそうとして、GUMIがかなーリ久しぶりにDTM製品になったのがアツいですね。
