VOCALOID、UTAU、CeVIO、SynthV、Sinsyというふうに、5種の歌声合成でいつも通りカバー曲を投稿したんですが、今回はちょっと特別。男声しかいません。
キャスティングや調声についてちょっと解説します。
5種の男声歌声合成で「Warning!」カバー
今回カバーしたのは40mPさんの「Warning!」。40mPさんの曲は超絶歌わせやすいんですよね。早口過ぎないので、人間でも余裕で歌える。私はそのくらいが好み。
今回のキャストは以下の5人
一人ずつ見てみましょう。
VY2V5
VOCALOIDからはVY2が参戦。若々しく爽やかな声が特徴。癖がなくストレートでとても使いやすい。V3とは違ってファルセット音源がついてないですが、V5のExciterやブレシネスを使えば優しい声も出せるし、もちろん張りあげることもできる。今回はやらなかったけどグロウルもできます。
今回の担当個所はサビ前とハモリです。ロングトーンの多いパートを歌ってもらいました。というのも、VOCALOIDは上の5種の中でも最もロングトーンに強い歌声合成といえるからです。ぶれなく均一に、無難に自然に歌ってくれるのがVOCALOIDのいいところ。
調声は、V4で基本のノート調声をやって、V5でExciterとブレシネスをいじるくらいです。ノート分割やPIT、JobPluginが欲しい作業などは慣れているV4でパパっとやってしまいます。この下書きのような作業はKAITOでやりました。VY2V3持ってないので。
Exciterは音程に合わせてキレ風に。3サビ前の静かなパートでは思いっきり下げてブレシネスを上げました。
廻音シュウ
歌い手「周平」が中の人を務めるUTAU音源。基本的にハイトーンが強いですが、低音も結構こなれている。今回は基本の低音と、強みを生かせる高音の両方を採用しました。高音出したい系男子。
エンジンはMoresampler。調声作業中は生成が速いDoppeltlerを使っています。最終書き出しまでDoppeltlerでいいかとも思ってたんですが、無声子音がかなり大きかったため、Moresamplerのbフラグで抑えることにしました。フラグはb-10のみ。
2サビは前半低音、後半高音です。やはり高音がばえる。普段女声音源を使ってるときにはやらないですが、ビブラートをかなり深く掛けてます。普段はせいぜい半音幅(最高-最低=半音)ですが、今回は全音幅も結構あった。
赤咲湊
CeVIOのすげぇ使いやすい男声音源。自由度も高いしお気に入りなので、冒頭と3サビ最初を担当してもらいました。今回の5種の中では、実はオケに音が埋もれやすい音源第1位でした。
調声は基本CS7でやりました。ピッチやタイミングなどはいつも通り。シュウと同じく、ビブラートはいつもより若干大きめ。ビブラートではALPも使いました。ピッチの動きと上下逆にALPを描くと、ビブラートが強調されます。
3サビ最初は湊にしか務まりません。「シューティングスター」という歌詞があるんですが、原曲では「SM t’iN sta」と歌っています。二重子音「st」を最も細かく思い通りに調整できるのはタイミングを備えたCeVIOだけ。とても重宝します。
ゲンブ
SynthV唯一の男声音源。デフォルトで子音が結構長めなので、全体的に頭子音長を短めに設定してから始めました。小さい「っ」を演出するときには頭子音長を通常値に。
今回は初めてピッチをフリーハンド(オーバーレイ)でピアノロール上に直接描きました。いつもより若干CeVIOに近い歌い方になっていると思います。
基本的に低音がバリバリなるタイプの音源なので(ほかの音源は結構声質が高い)、ゲンブが混ざってくれることで、重心が安定する感じがする。
m01083j
Sinsyの日本語男声音源。巷ではまず見ないレアキャラながらかなりのイケメンボイス。CS7で作ったXMLはうまく読み込めなかったので、シーケンス自体はCS6で作りました。
調声はビブラートを基本にピッチを動かします。m01083jはビブラートとの相性が異様に良い。何があった?ってくらい。普通ならしゃくりあげにするだろう所を深めのビブラートにしてやると、急にいきいきしだすところがある。
音の立ち上がりが遅めなので、VocalShifterで補正して、ピッチはWavesTuneで描きます。子音の長さは基本シーケンスを作る段階で小さい「っ」をちりばめて作っておきます。鼻音やs/fなどの持続性の子音はVocalShifterで伸ばしますが、あまりきれいにならないことが多いので、そんなに多用しません。