「ボカロ(広義)」が正しく報じられる日は来るか

来ない。

最近、TVで歌声合成ソフトの話題が取り上げられることが増えてきた気がします。昔はただこき下ろされるだけの番組もありましたが、今では肯定的に捉える向きもあります。

ただ、ツッコミどころも多いんですね。VOCALOID以外のソフトをボーカロイドって言っちゃったり。理解の甘さが確かにある。オタク的には気になる。

今回のテーマは「ボカロ(広義)が正しく報じられる日は来るのか」です。

ボカロ(広義)

厳密に言えば、VOCALOID以外はVOCALOIDでもボーカロイドでもボカロでもありません。それぞれUTAUやCeVIOという名前がついています。わかりやすさ重視でひっくるめてボカロと呼ぶ場面も多いですね。

VOCALOID、ボーカロイド、ボカロはいずれもヤマハの商標なので少なくとも法人は最低限の正しさを保障する必要があるとは思う。

そこら辺を踏まえて、個人的には「間違ってなければOK」だと思っています。

オタクはターゲットではない

TVでボカロ(広義)を「紹介」するとき、ボカロ(広義)を「知っている」人はそもそもターゲットじゃない。ターゲットじゃない人間の意見に合わせても意味がない。

知らない人に「これはVOCALOIDではなくX社が開発したYという歌声合成ソフトでして、素片接続式のVOCALOIDと比べて云々」なんて言ってもわからない。それは濃縮200%のオタクムーブで、ニュース番組や非DTM系音楽番組の役割にはなり得ない。

これは自論だが、初心者向け情報を作るのに重要なのは必要情報ではなく十分情報だ。詳しい人は「あれはちゃんと言及してほしかった」「これを抜きに語るのはない」なんていうが、情報には適量がある。十分のレベルで止めておかないと適量をすぐオーバーしてしまう。

歌声合成ソフトの違いは実際に触っている人だけが知っていればいい情報で、そもそもが必要情報ですらない。大体同じ音がするなら、VOCALOIDでもCeVIOでも聞く人には関係ない。興味が出てきたとき=余裕ができて適量の容量が拡大したときに渡してやればいい情報だ。

間違ってないレベル

正しい情報、厳密な情報、必要な情報は、常に正義なわけではない。私は「間違っていなければOK」だと思っている。

「東北きりたんはボーカロイド」は間違いなのでアウトだが「東北きりたんはボカロ(広義)」は間違ってない。「東北きりたんは初音ミクみたいなやつ」でも間違ってない。

正しくいうなら「東北きりたんは、ボイロかつUTAUかつNEUTRINOかつCeVIO AIかつVoidolの音源であり、VOCALOIDではない」だが、情報過積載でしかないし、めんどくさいし伝わらない。VOCALOID以外は聞いたこともない単語だし、検索できてもわけわからん記事しか出てこないので初心者に「なんかめんどくさそう」という印象を与えるだけになる。上の文章は知らない人が見ても助詞とか接続詞しか理解できない。

情報は絞れ。人間は普通文字を読まない。人の話も聞かない。タイトルを読まれればすでにすごい。中身なんか見てない。そういう制約の中で何かを伝えるなら、文字数は自ずと減る。正しく厳密で必要な情報はTVやニュース記事の役割じゃない。マニュアルや解説書、論文の役割だ。

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