2020年に入ってから、力の強い歌声合成ソフトが結構出てきています。今までは新歌声合成ソフトが出ても私みたいなニッチ歌声合成ソフト収集家(変態)しか認知しないという状況が長らく続いていたのに。
今回は、最近出てきたつよい歌声合成ソフトをまとめてみました。
2018年ごろから見てみましょう。
2018年リリースの歌声合成ソフト
VOCALOID5
言わずと知れた歌声合成ソフトの長「VOCALOID」の最新版。V5で新規に出てきた音源は、本家組4人「Ken」「Kaori」「Amy」「Chris」と、AHSの「桜乃そら」、ガイノイドの「鳴花ヒメ・ミコト」だけ。ちょっと元気が足りない。
お値段が高く、最低で2.5万円から。自動調声機能があったりワンクリックでしゃくりやビブラート、ボーカルフライが作れたりと、基本は省力化する方面で作られている印象。
Synthesizer V(R1)
無料の歌声合成ソフトとしてリリース。英語音源「Eleanor Forte」は聞き取りやすく上質で、一気に話題になった。基本的には中国ボカロ音源ベンダー「平行四界」が中国語音源をたくさん出しているので、中国の歌声合成ソフトっぽさはある。日本語音源はUTAUベースの「闇音レンリ」と、オリジナル男声音源「ゲンブ」がある。
フツーに打ち込んでも特に問題なく歌うし動作も軽いが、「声の力強さ」「母音の立ち上がりの速さ」など調声パラメーターが結構充実しているので、いじり倒したい人にもおすすめできる。初心~上級者向け感。
マルチプラットフォームかつReWireにも対応しているので利用シーンは広め。
2019年リリースの歌声合成ソフト
DeepVocal
中国企業が作っていた「Sharpkey」という歌声合成ソフトの後継ソフト。無料。一般ユーザーでも専用音源が作れるため、一部のUTAU民から人気を集めている。
ソフトの見た目はVOCALOID3っぽい。調声パラメーターもV3に近い。子音の長さや母音の立ち上がりスピードが視覚的にいじれる。UTAUのように音声サンプルの差し替えができる場合もある。
2020年リリースの歌声合成ソフト
NEUTRINO
2月にリリースされた無料のAI歌声合成ソフト。楽譜を読み込ませれば、自動でしゃくりやビブラートなんかをシミュレートして人間っぽく歌ってくれる。
sigさんが作った専用エディタを使うと、上の動画のように調声もできる。「低労力で人っぽく」という意味では最強の歌声合成ソフト。いじれるのは発声タイミングとピッチと音量くらいなので、いじり倒したい人にとっては物足りないかも。
PiaproStudio NT
クリプトン製の歌声合成ソフト。現状、新型初音ミクが専用音源としてリリースされている。ミクNTは2万円くらいで販売予定。
お手軽方面ではなく「めちゃくちゃ詳細にいじれる」方面のソフトなので、すごくこだわりが強いタイプの調声ガチ勢向けのソフトな印象。合成波形がリアルタイムに表示出来たり、ピッチが手描きできたり、声の力強さをコントロールできたりして良い。
今出ているのはプロトタイプ版で、音質がめちゃくちゃこもっていたりバグが多かったりするからか、まだあんまりユーザー数は多くない。
Sythesizer V Studio Pro
上で見たSynthVの新型。開発元は変わらないが販売元がAHSになる。価格は約1万円から。7月末に琴葉姉妹が専用歌声ライブラリとして発売される。


ベタ打ちでもそこそこ歌うというのはこれまで通りだが、加えて自動調声機能を搭載。より初心者に対応できるソフトになった。そのうえで、調声パラメーターは十分多いのでいじり倒したい上級者でもたぶん満足できるものになるだろう。音質も向上しているらしい。
ヨドバシやAmazonでも販売する予定らしく、VOCALOID5に比べると圧倒的に手に取りやすい製品になりそう。
リリース間近の歌声合成ソフト
CeVIO AI
CeVIO陣営が販売に向けた最終調整を行っているらしい新型歌声合成ソフト。AI歌声合成ソフトの類で、おそらく「楽譜を読み込ませれば、自動でしゃくりやビブラートなんかをシミュレートして人間っぽく歌ってくれる」タイプの製品になると思われる。
先週ツイートした開発中の「CeVIO Pro(仮)」はVSTiで動くAI歌声合成ソフトです。
色々なDAW上(Win, Mac)で動くみたいなので、たくさんの方に使っていただきたいですね!#CeVIO pic.twitter.com/txJvZR1FsP— テクノスピーチ(Techno-Speech) (@techno_speech) March 4, 2020
音声のクオリティーはこのくらいとのこと。ソフトとしてはこれまでのCeVIOと同じようなパラメーターを備えるらしいので、楽譜を渡すだけでそこそこ歌って、気に入らないところだけ修正すればOKな「スタンダードなAI歌声合成ソフト」になる予感。
プロの現場で使う仮歌にちょいどいい説(低労力でそこそこの音ができるから)も出ており、ユーザー拡大の可能性もあるかも。