貧乏学生をやっていたころはフリーソフトを使い倒していた私も、今では社会人。数千円のソフトはワンクリックで買える御身分になりました。
今回は、歌声合成ソフト界隈の人が使って役立ちそうな有料ソフトを紹介していきます。価格は1万円以下のモノをチョイス(1万円を超えるソフトは歌声合成関連以外持ってない)した。
安めの有料ソフト
「有料だからいい」「無料だからダメ」ということは別になく、いいソフトが偶然X円だったというだけのことなんだけど、それでも何となく傾向はある。有料ソフトは「機能が多くて、動作が安定していて、見た目が良い」ことが多い。
今回は「音楽制作/音声編集」「デザイン」「オフィス」ソフトを紹介します。
音楽制作/音声編集
DAW「REAPER6.x」 約6000円
シンプルでとても軽いDAW。無料で使えるけど本来は約6000円。そう簡単にフリーズしない。初心者向きではない。
DAWとしての機能は何一つ文句なく使える。私は、数万円のDAW(テキトーな音源付き)を買うなら、DAWはREAPERにして、差額を音源やエフェクトに突っ込んだほうがいいんじゃないかと思っている。
初心者向きじゃないというのは、付属音源の類がほぼないので、「これだけあればとりあえず始められる」という状態にはないため。フリーDAWとフリーVSTで鍛えられた野生のDTMER向き。
UTAUなど歌声合成で音声を書き出し直すときに、音声ファイルをいちいち読み込みなおさなくてもいいのがとても都合がいい。
DAW「ACID Music Studio」 約6000円
ループシーケンサータイプのDAW。ヨドバシでよく売っている。初心者向きではない。
MIDIにはめっぽう弱すぎるが、音声の扱いはうまい。ピッチやテンポの変更が綺麗にできる(もともとそういうのが主目的のソフトだから)ので、リミックスやマッシュアップをするのによい。
DAWとしては異端だし、MIDIが弱すぎるのでなぜ初心者向けみたいな顔してヨドバシに置いてあるのか謎。
音声処理「iZotope RX Elements」 割と頻繁にセールしてる
音声のノイズを消せるソフト。本来は1.5万円くらいだけど、よくセールをしているのでたいてい1万円以下で手に入る。初心者向け。
Elementsというだけあって機能は少なく、そのぶん分かりやすい。初心者向け。ちゃんと操作説明書を読めば、たぶん30分で使いこなせるようになる。
私は高等な耳をしていないので、音がどのくらい劣化するのか(しないのか)は知らない。
音声処理「SpectraLayers」 高い
お絵かきソフトっぽい音声処理ソフト。音声のスペクトログラムを鉛筆ツールやなんやでグラフィカルにいじってノイズを消したり効果音を描いたりできる。本来は高いが、たまに90%offみたいな謎レートのセールをやっている。中級者以上向け。
スペクトログラムを見て、ノイズの種類などを見分けたうえで、手書きで消せる能力がすでに備わっているならとても楽しいソフト。
アイデアさえあれば、ノイズ除去の他に母音を作り変えたり、音声に暗号を仕込んだり、SE(Sound Effect)を手描きしたりできて多彩。普通は使わないけど。
音声処理「Adobe Audition」 約2500円/月
Adobeの音声処理ソフト。月額課金制。音声処理はたまーにしかしないという人向け。個人的にはかなり使いやすくて好き。中級者以上向け。
ハムノイズや空調ノイズなど、恒常性のノイズを消すのがうまい。上記2つの音声処理ソフトと比べると若干DAWに近い作りになっていて、「ノイズ除去をしたうえでコンプをかけて音量のばらつきを抑える」みたいな操作がシームレスにできる。コンプのAttackを0msにできたりする。
サブスク(月額利用料を払えばその月だけ使い放題)なので、常に音声処理する人だとコストが結構かかってしまう。
グラフィック/デザイン系
Affinity Photo 約6000円
フォトショとほぼ同じソフト。フォトショはサブスクだけど、Affinityは買い切りなので長期間使う場合は圧倒的にコスパがいい。上級者向け。
写真のRAW現像や加工ができる。普段の仕事では報道写真しか扱わないのであんまり複雑な機能は使っていないこともあり、フォトショがなくてもこれで全然十分。
機能的にめちゃくちゃ劣るということは別にない。傷修復ツールは便利だった。結構綺麗に傷やロゴが消せる。何よりいろんな操作をしても動作が遅くならないのがいい。反応速度が速い。たぶんGIMPより速い。
日本語情報があまりにも少ないのが上級者向け判定の理由。ソフトの操作は簡単だけど、何か困ったことがあったときにはWeb検索しても欲しい情報が見つからないのが難点。
Affinity Publisher 約6000円
出版物を作るためのソフト。AdobeでいうところのInDesign。こちらもコスパ最強だが日本語情報がないので上級者向け。小説や雑誌、新聞のような縦書き印刷物を作りたいならおとなしくInDesignを使うべき。
雑誌や技術書、パンフレットを作るのによい。感覚的に使えて動作も速く、機能も十分。ただし縦書きは無理。ルビも無理。できないわけじゃないけど標準装備された機能はない。
日本語に強いPublisherが欲しいけどAdobeは絶対嫌という人は、MicrosoftのPublisherを使えばよいのでは。Wordと一緒に知らんうちにインストールしているかも。
CLIP STUDIO PAINT PRO 約5000円
イラスト制作ソフト。私は絵をほとんど書かないけど、それでもあると便利。フリーでもMedibang Paint Proがフツー便利だけど、画像処理のクオリティは段違いでCLIP STUDIOのほうが良かった。
3Dデッサン人形がついてるとか、ベクターレイヤーだとか、スムージングとか、とにかく便利機能が多い。Medibangは普通の機能が一通りそろっているけど、便利機能があるわけでは特にない。
CLIP STUDIOで私が地味に気に入ってるのは範囲選択のきれいさ。ノイズが入ったJPEGでも正しく範囲選択してくれる。かなり好き。
あと、ユーザーがバリ多いので、Twitterを見てるだけでも使えるテクニックがどんどん流れてくる。
1年間Medibangを使うのと、1年間CLIP STUDIOを使うのとだったら、後者のほうが成長できるんだろうなという感じ。
オフィスソフト
WORD 約1500円/月
言わずと知れた文書作成ソフト。仕事柄WORDを使う機会がほとんどないので、必要になったときだけ月1500円(Office 365)で買っている。超初心者向け。
最近はもうほとんどGoogle Documentを使っている。この辺の使い分けは「印刷するならMicrosoft、共有するならGoogle」みたいな感じ。私は共有することが多いのでGoogle Documentを使っている。
で、たまに印刷する必要があるときに引っ張り出してくると、WORDが超使いやすいということが分かる。やりたいことが全部できる。ゆうてやりたいことはそんなにないけども。
ECXEL 約1500円/月
こちらも必要になったときだけ引っ張り出してきて使う。必要になることはほとんどない。
ただ、フリーのオフィスソフト「Libre Office」を使ってみてわかったけど、操作性と機能が全然違うので、やっぱり必要になったらこっちを使うことになりそう。
私の場合、ECXELを業務で使うことはまずない。やっぱりGoogle Spreadsheetを使う。歌声合成ソフトを使うときにはたまにマクロを実行することがあるので、そのためだけに使う。
PowerPoint 約1500円/月
これも必要になったときだけ使う。中学校の頃から使い慣らされて来たので、もはやほかのソフトは一切使えない程度には依存している。
ダークモードにしたうえでメイン画面にはグリッドを表示し、左パネルにはナビゲーション、右パネルには書式設定を出してこれでもかというくらいいじっている。アニメーションはうざいので一切適用していない。
パワポは良いぞ。絵も描けるしアニメやゲームも作れる。完全に一つのワークステーションだと思っている節がある。