Synthesizer V Studio Proの使い方マニュアル配布です

その他歌声合成

AHSのSynthVプレゼント外れてむしゃくしゃしたので、「プレゼントのパケが当選者に届く前に記事にしちゃえ」と思って、Synthesizer V Studio Proのマニュアルを作りました。反省はしてない。

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ここから本文(PDFと内容は同じ)

00|はじめに

このドキュメントでは、歌声合成ソフト「Synthesizer V Studio Pro」の使い方を、くろ州が勝手に解説したものです。すべての機能を解説するのではなく、よく使いそうな機能を中心に説明していきます。あくまで非公式なのでご了承ください。

Synthesizer V Studio Proとは

歌声合成技術を手掛けるDreamtonicsが開発、AHSなどが販売する歌声合成ソフトウェア。中国の音源ベンダー「平行四界」による中国語女性音源がすでにリリースされており、AHSの日本語女声音源「琴葉 茜・葵」も7月30日に発売を控えている。

01|GUIの見方

①トラックセクション

トラックの管理や移動を行う場所。ボリュームやパンの他、音源の変更などもできる。

②ピアノロールセクション

ノートの打ち込みや歌詞の編集などを行う場所。ピッチカーブの手書き入力もできる。

③パラメータセクション

ピッチや音量など声質パラメータの編集を行う場所。

④パネルセクション

ノートの編集や音源の設定、音声の書き出し、ライセンス認証など、多くの機能はここから「パネル」を開いて行う。

02|GUIの細かい見方

トラック/ピアノロールセクション                  

トラックには「トラック名」「音源名」「ボリュームノブ」「パンノブ」「ミュートボタン」「ソロボタン」がある。左端をドラッグするとトラックを移動できる。

音源名をクリックすると、ボーカルトラックは音源の切り替え、オーディオトラックは参照する音声の差し替えができる。

ピアノロールのアイコンは左から、「矢印ツール」「鉛筆ツール」「ノート編集モード」「ピッチ編集モード」「ピッチ表示」「出力ピッチ表示」「波形表示」「音素表示」「再生」「停止」「先頭に移動」「末尾に移動」。

パラメータセクション                  

アイコンは左から、「マルチツール」「手書きツール」「ラインツール」「直線モード」「サインモード」「ベジェモード」「2倍拡大」「4倍拡大」「パラメータ1」「パラメータ切り替え」「パラメータ2」。

パネルセクション                  

ただのロゴ:D&Dするとパネルセクションの位置を変えられる

ノートプロパティ:ノートのピッチや音素をコントロールするパネル

歌声:音源の声質や歌い方を設定するパネル

ライブラリ:フレーズをストックするパネル

辞書:単語や記号の発音を登録するパネル

レンダリング:音声の書き出しを行うパネル

ライセンスとアップデート:エディターや音源のライセンス管理をするパネル

設定:エディターの挙動を設定するパネル

メニューバー(一部)

表示

・トラック/ピアノロール→クオンタイズ
クオンタイズ幅を設定する。

修正

・音素をリセット
編集したノートの音素を初期状態に戻す。

・ピッチ/タイミングプロパティをリセット
編集したノートのピッチやタイミングを初期状態に戻す。

・パラメータ簡素化
書き込んだパラメータの制御点を間引く。

・アンカー点の追加
ノートの始まりと終わりに制御点を置く。

・ピッチ自動調整
ワンクリックでピッチをいい感じに編集する。

・グリッドにそろえる
ノートの始まりと終わりをクオンタイズ幅に合わせる。

03|クイックスタート

GUIの見方が分かったところで、基本の歌わせ方を見ていきましょう。

まずはピアノロールの左上でテンポと拍子を設定します。1小節目1拍目あたりに書いてある「4/4」「120」をダブルクリックすると編集できるようになります。

設定出来たら、「ノート編集モード」「鉛筆ツール」を選択してノートを書いていきます。

その後、歌詞を入力したいノートを選択してCTRL+Lを押して歌詞を流し込みましょう。

これで基礎の基礎は終了です。再生すれば普通に音が鳴ります。

音声の書き出しは、レンダリングパネルを開いて出力先フォルダとファイル名を指定し、「ファイルに出力」ボタンを押せば完了です。

04|保存とイン/エクスポート

ファイルの保存と読み込み

 プロジェクトファイルの保存や読み込みは一般的なソフトと同様にできます。拡張子は「xxx.svp」。読み込めるプロジェクトファイルは「S5P」「S5P」など。

インポートできるファイル       

プロジェクトやトラックとしてインポートできるファイルは「MIDI」「S5P」「VSQX」「VPR」「UST」「CCS」など。読み込める音声ファイルは「WAVE」「AIFF」「FLAC」「OGG」「MP3」「WMA」など。CTRL+SHIFT+IもしくはファイルのD&Dでインポートできます。

エクスポートできるファイル       

プロジェクトファイルとして書き出せるのは「SVP」「MIDI」「UST」。音声の書き出しは「レンダリング」パネルから行う。

ファイル名を記入し、書き出したいトラックにチェックを入れる。書き出しフォーマットでチャンネル「モノラル/ステレオ」、ビット深度「16bit/24bit/32bit浮動小数点」、サンプリング周波数「44.1kHz/48kHz/96kHz」を選ぶ。出力先フォルダを指定して「ファイルに出力」ボタンを押すと出力完了。ブレスの分離出力は「息成分だけ別チャンネル/ファイルとして出力する」機能。

05|ノートプロパティと歌声

ノートプロパティパネル                  

 ノートのピッチやビブラート、音素などをコントロールするパネル。

ピッチ遷移では「タイミング」でポルタメントのタイミング、「長さ」でポルタメントのスピード、「深さ」でポルタメントの深さをコントロールする。「深さ」はプラスにするとピッチカーブが下に、マイナスにすると上に伸びる。

ビブラートでは「開始タイミング」でビブラートの長さ、「左右」でビブラートの始まり方/終わり方、「深さ」でビブラートの振幅、「周波数」でビブラートの速さ、「位相」でビブラートのずれがコントロールできる。

ゆらぎ」は、数値を大きくすると音源収録時のピッチが再現される。逆に小さくすると完全にピッチ補正される。

タイミングと音素では「ノートオフセット」で発声タイミングを前後にずらす、「音素」では発音記号の編集と音素の長さをコントロールできる。

表現グループではUTAUのようにサンプル交換ができる。

歌声パネル               

 歌声パネルでは音源の設定ができる。疑似的にプロジェクトの設定としても使える。

パラメータでは「ラウドネス」でプロジェクト全体の音量、「テンション」で音源のハリの強さ、「ブレス」で音源の息成分の量、「ジェンダー」で音源の若さをコントロールできる。

「パラメータ」「ピッチ」「ビブラート」はノートプロパティと同じ機能。

プロジェクト内でピッチの動きやビブラート、声質を個別にいじる場合にはノートプロパティパネルで設定するが、プロジェクト全体のピッチの動きなどを設定したい場合は歌声パネルで設定するのがいい。

プレーンな状態にする場合はピッチの「深さ」と、ビブラートの「深さ」を0にする。のちのピッチ編集はそちらのほうがやりやすい場合もある。 ピッチの「長さ」も0にすれば、ベタ打ちの状態でケロケロボイスにすることもできる。

設定はプリセットとして保存可能。

06|パラメータ

ファイルの保存と読み込み                  

名前効果
ピッチベンドピッチを上下する。ピアノロール上で「ピッチ編集モード」を選択すると、ピッチカーブを直接編集できる
ビブラートエンベロープビブラートの振幅をコントロールする。ノートプロパティの「深さ」に比べて詳細にいじれるので、細かい表現を作りたいときに使う
ラウドネス音量を上下する。声質は大きく変化させず、純粋に音量の大きさをコントロールする
テンション声のハリをコントロールする。上げると張り上げ、下げると弱々しく歌う
ブレス息成分を増減させる。上げると息っぽく、下げると密度の高い声で歌う
有声/無声音息成分の割合をコントロールする。一番下まで下げるとささやき声になる
ジェンダー声の若さをコントロールする。上げると年を取り、下げると若くなる

パラメータのコントロール       

パラメータはパラメータセクションで操作する。「鉛筆ツール」を使うと、フリーハンドでパラメータを描ける。「ラインツール」ではUTAUのように制御点を使ってパラメータをキレイに描ける。「矢印ツール」では制御点の移動ができる。

直線モード」ではラインツールで書いた線が直線に、「サインモード」ではサインカーブに、「ベジェモード」ではベジェ曲線のようになる。

↑左から、「フリーハンド」「直線」「サイン」「ベジェ」

ピアノロール上で「ピッチ編集モード」を選択すると、ピッチカーブを直接手書きしたり制御点を追加したりして編集できる。

07|その他のパネル

ライブラリパネル                  

SynthV Proには「ノートのグループ化」という機能がある。フレーズをまとめて選択し、グループ化すると、グループごと移動や複製できる。複製元のグループと複製後のグループは調声状態が同期されるので、同じフレーズが繰り返される場合には作業量が減らせる

グループ化すると自動的にライブラリに登録される。グループはライブラリからピアノロールにD&Dできる。別のプロジェクトには継承されない。

辞書パネル              

単語や記号の発音をストックできる。「を」を「w o」と登録したり、漢字の読みを設定したりできる。VOCALOIDやCeVIOなどのプロジェクトファイルを読み込む際に、SynthV Pro用に記法を一括変換するのにも役立つ。

ライセンスとアップデートパネル              

エディターや音源のアクティベーション、ディアクティベーション、アップデートの確認ができる。普段は使わない。

設定パネル              

GUIの言語、オーディオデバイス、ピアノロールのコントロール、ベタ打ち時のデフォルト歌詞などを設定できる。普段は使わない。

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