最近「OpenUTAU」というプロジェクトが活発になってきています。これは、UTAU音源をそのまま読み込んで使えるUTAUオマージュのソフトなんですね。機能面はまだまだ強化できるところあると思いますが、カラーリングがかわいくてオケも読み込めるのがいいところ。
複数トラック行けて、オーディオも同時再生可能。
ただし割と落ちる。実装は結構済んでないらしくて、ボタンはあるけど効かないとかは結構ある。 pic.twitter.com/qK2oD28QA1— くろ州=多刀流Pの記事と作品 (@96s_kM4osM) June 30, 2018
↑のツイートは2年前なので今と状況は変わってますが、どんなソフトかは分かるかと思います。
で、先日こんな質問がTwitterに上がっていました。
@UTAUQA匿名: オープンソースで開発が進んでいる、UTAUと同じエンジンも使えるという某ソフトで作られた音声はUTAUと言えるのでしょうか?皆さんは音声を作成したとして、UTAUとして発表しようと思いますか?
— 【UTAU】Q&A壁打ちアカウント (@UTAUQA) October 30, 2021
UTAUっぽいそふとで作った歌声は「UTAU」と言えるのかと。
詳しく見ていきましょう
UTAU音源を読み込めるソフト
UTAU音源を読み込めるソフトは実は結構あります。
最近活発に動いているのはOpenUTAUとUTSUですね。この2つはUTAU音源をそのまま読み込んで使えるタイプのソフトです。
実は「UTAU音源を読み込めるソフト」には3つのタイプがあって
こんな感じになってます。OpenUTAUとUTSU、PaintVoice、なめうぇーぶがA、NakloidがB、CadenciiがCですね。まずはそういうのがあるんだと知っておくところから始めましょう。
UTAUエンジンを読み込めるソフト
ついでにいうと、UTAUエンジンを読み込めるソフトもあります。
OpenUTAU、UTSU、Cadenciiはオリジナルエンジン+UTAUエンジンに対応。PaintVoiceとなめうぇーぶ、Nakloidはオリジナルエンジンのみ対応です。
何を以て「UTAU」と呼ぶか
UTAUの音声を作るには、UTAU音源、UTAUエディター、UTAUエンジンの3つが必要ですね。
では、どれが欠けたらUTAUじゃなくなるのか。調べてみよう。
UTAU音源が欠ける
「UTAUエディターとUTAUエンジンは使っているが、UTAU音源ではない」
これを「人力音源のこと」と理解するのであれば「UTAU」ではなく「UTAU式人力」と書くだろう。つまり表記をちょっと変えており、分離できるような仕組みができている。
UTSUにはオリジナル音源「Lona」が1個同梱されています。実はこれUTAU音源と仕様がほぼ全く一緒で、UTAUエディター上でも動くんですね。じゃあUTAUエディター上でLonaの音声を合成したらどうなるのか……考えるのが面倒なので「そんなことするやついない」として逃げます。
UTAUエディターが欠ける
「UTAU音源とエンジンは使っているが、UTAUエディターではない」
これは、OpenUTAUやUTSUなどで、UTAUエンジンを指定して歌声を作った場合のことですね。出力される音声は、UTAU音源をUTAUエンジンで加工したものであり、その意味ではUTAUと言って差し支えないでしょう。
これはVOCALOIDとPiaproStudioの関係とほぼ同じです。クリプトンボカロを買うと付いてくる「PiaproStudio」は、エンジン(の基盤)がVOCALOIDで、VOCALOID音源を読み込める、VOCALIDではないエディターです。ニコニコ動画では「PiaproStudio」というタグで区別されることなく使われています。
UTAUエンジンが欠ける
「UTAU音源とUTAUエディターを使っているが、UTAUエンジンではない」
UTAUエディターで使えるエンジンは問答無用でUTAUエンジンなので存在しない……と思いきや、UTSUのオリジナルエンジン(Resampler)「Macres」はUTAUエディターでも動作します。エンジンの仕様は相互互換というわけですね。
これも考えるとめんどいんで「そんなことするやついない」って逃げていいですか。
逆にUTAU音源だけ使っている
「UTAU音源は使っているが、エディターとエンジンがUTAUではない」
OpenUTAUやUTSUのオリジナルエンジンを使って歌声を合成するパターンですね。これは意見が分かれるところかなと思います。個人的には「UTAU」をジャンルタグとして、「OpenUTAU」タグも付けてれば文句は言われなさそうな雰囲気を感じている。
やったことないので今度動画出して人柱になります。
逆にUTAUエディターだけ使っている
UTAUエディターでLonaをMacresで歌わせるパターン。何がしたいんだそいつ。
別パターンとしてENUNUがある。ENUNUはAI歌声合成ソフトですが「ENUNU音源をUTAUエディターで読み込んで、ENUNUのエンジンで合成する」という仕組み。現状これはUTAUタグなしで「ENUNU動画」として扱われている。
逆にUTAUエンジンだけ使っている
ではLonaをUTSU上でUTAUエンジンで歌わせた場合は「UTAU」になるか。これも悩ましいが、おそらく「ならない」の方が若干優勢だろう。LonaはUTAU文脈からちょっと離れている存在だし、そもそも「UTAUと言えるか」という議論において「UTAUと言いたい」候補には入ってないと思われる。
何にも使っていない
「音源もエディターもエンジンもUTAUじゃない」
これはUTAUではないですね。例えば、UTSU上でLonaをオリジナルエンジンで歌わせたらそれはもうUTSU。