「ボーカロイド化」にだまされてはいけない

若干古い話題なんですが、「アイドルグループ『Kis-My-Ft2』の二階堂高嗣さんをボーカロイド化して作った楽曲」が5月7日付でYouTubeに公開されました。

これが若干話題になってるんですよね。VOCALOID化はしてないので。

二階堂 高嗣 (Kis-My-Ft2) / 「BRAVE TUNING」Music Video

ちょっと見てみましょう。

「ボーカロイド化」

avexのYouTubeチャンネルで5月7日に公開されたのは「BRAVE TUNING」という曲。作詞作曲、編曲はかいりきベアさん。ボーカルは二階堂さんがモデルの合成音声です。

BRAVE TUNINGの動画説明欄には「ボーカルは二階堂の声をボーカロイドにした自身初となる試み!?」とあります。

ただし、合成技術として採用されているのはVOCALOIDではなくコエステーションです。

事実関係は以上。シンプル。

「VOCALOID以外ボカロじゃないの」

「ボーカロイド/ボカロはヤマハの登録商標なので、それ以外はボカロと呼ばない」「広義のボカロは歌声合成全般」みたいな話は、まぁ幾度となく繰り返されているので、今回の件も類似の案件ではあります。

動画概要欄に書かれている「ボーカロイド」はおそらく広義の意味で、合成音声だということだけを意図して書かれていると考えられます。

今回のポイントは「ボカロではなくボーカロイド表記である点」「主体が個人や同人ではなく法人」の2つかなと思います。

うれしいことに、VOCALOIDはじめとする歌声合成ソフトの音は、徐々に一般層にも受け入れられつつあります。テレビなどメディアでも普通に取り上げられるようになってきました。

その中で、分かりやすさを重視したか、あんまり調べずに書いているかは不明ですが、歌声合成ソフト全般をまとめて「ボカロ」と表記する記事も若干あります。

これに関しては、そういう記事が出る度にVOCAOIDファンから使い方が違うというツッコミが入るのですが「ボカロ」表記であればギリギリ広義の歌声合成ソフトという意味で捉えられなくもないということで、ファンからは多少許される雰囲気があると思います。略称としてのボカロも登録商標ですけどね。

今回の動画説明にはボカロではなくボーカロイドと書いてあります。ボーカロイドを広義の歌声合成ソフトとして使う文化はファンの中にはなく、どう見てもVOCALOIDのことを指すため、アウト判定の割合が大きそうです。ボカロ表記なら「まぁ……、ね」くらいで済んだ気もする。

今回の発信元が法人なのも気になるポイントですよね。個人であればせいぜい知り合い同士でちょっと喧嘩になるかな程度ですが、音楽業界に影響力のあるavexさんですから。そこのところはちゃんとしてほしいよねという気持ちにはなりますよね。

普通に考えて「コエステーション化!」っていっても通じないので「ボーカロイド化!」にしてるんだと思います。確かに便利なんだよな。

ただ、ヤマハが歌声合成全般を指してボーカロイドと呼ぶのを禁止している(ちゃんと禁止している)のは、一般名詞になってしまうと登録商標としての力を保持できなくなるかららしいので、結構法律的な問題なんですよね。1ファンがどうこう言う問題ではないんですけど(当事者ではないので)。

「ボーカロイド化」にだまされてはいけない

もうちょっと言うのなら、VOCALOIDファンが「ヤマハの新しい動きか!!??」って期待しちゃった可能性とかありますよね。商品としてリリースはされないだろうなと思いつつも期待してしまいます。VOCALOIDって実はもう2年新しい製品が出ていなくて(VOCALOID搭載ロボとかはあるけど)若干不安視する向きもあるので。

コエステーションに歌声を合成する機能が付いたんだとすると、それはそれで面白いネタなんで、それ単体ではいいんですけどね。

なんか変な波及をしないようどうにかうまいことやってほしいです。
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